正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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晩秋の候

晩秋、鮮やかな紅葉、色づく山の姿が浮かびます。暦では、立冬の前日までをいうそうです。もうそこまで、冬が来ていると感じます。たしかに、今年は急に気温が下がったので、秋を通り越して、冬が来たような気分になっています。そんな季節の変わり目に、体調を崩す人が多いようです。最近は秋バテ、という言葉も聞きます。温度変化と空気の乾燥、日照時間の減少が3大原因です。

秋の不調の第1の原因の寒暖の差、温度変化です。日によっては、朝晩の気温は大きく下がりますが、日中はまだ暑い。この激しい寒暖差が自律神経のバランスを崩すのです。

2つ目は空気の乾燥です。空気が乾燥すると、汗をかいてもすぐに渇くので、水分を失っていることを感じにくくなります。そして、水分補給が少なくなると、のどの潤いがなくなり、のどを痛めやすいのです。また、秋の気候は低気圧の日が多くなります。低気圧は空気が軽いため、空気中の酸素濃度が低下します。身体の不調が出やすくなります。

3つ目、日照時間の減少のため、気分が落ち込むことも多くなります。日照時間が短くなると、セロトニンという脳内物質の分泌が減少するのが理由です。セロトニン不足は落ち込みを引き起こすのです。

秋に起こる体調不良は放っておくと免疫力低下を招きやすいそうです。そうすると、様々な病気の原因につながります。免疫力が下がると、流行りの感染症はもちろん、これから流行するインフルエンザや風邪にもかかりやすくなります。これらの改善には、やはり運動、栄養、睡眠です。体を温めるには大きな筋肉をストレッチすることが効果的。太ももの大きな筋肉をゆっくりストレッチすると効果的です。むくみにも良いので。試してみてください。

そして、自律神経を整えるには、バランスの良い食事です。冷たいものを取りすぎずに、常温や温かいものを取りましょう。そして、よく噛んで食べることが、おすすめです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」443号(2022年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。