正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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栄養失調になっていませんか

今年の暑さ、厳しいですね。食欲減退、夏バテしていませんか。食べているつもりでも、タンパク質を十分とれていない、栄養失調の人が多いというデータがあります。タンパク質は筋肉を維持するために必要です。

筋肉量は20代をピークに減り始めます。60代以降は一気に減少する傾向にありますので、そのまま筋肉量が減り続けると、筋力低下のため歩く力が衰えたり、転びやすくなったりします。介護が必要になる前段階と言われている「フレイル(虚弱)」になる可能性が高くなるのです。予防のためには良質なタンパク質を毎日の食事でとることが必要です。

この時、大切なのは朝昼晩の3食で均等にとること。朝食抜きや軽いランチでタンパク質をとれなかったので夕食で帳尻合わせをしようとしても、偏ったタンパク質の摂取の仕方では、筋肉が作られにくくなります。筋肉を維持するためには、体重1㎏あたり毎食0・4gのタンパク質が必要です。体重50㎏のひとは1食20gの摂取となります。

20gのタンパク質のためには、お豆腐1丁、鶏むね肉100g、青魚(鯖など)100gが目安です。なかなかの量です。卵やヨーグルトでもタンパク質は取れますので、上手に組み合わせてください。最近、コンビニで売っているものにはタンパク質の量が書かれているものがありますので、参考になります。

とはいえ、毎食手間ひまかけてタンパク質たっぷりの料理を用意するのは大変なこと。缶詰や加工品を常備しておくと、暑い夏の料理もほんの少し楽になるかもしれません。サバやイワシの缶詰はコレステロールを気にする人には強い味方。余分な脂質や糖質を含まない水煮がおすすめです。

筋肉を維持するためには、重いものを持ち上げたり、坂道を上ったりなど、体に負荷をかける運動が必要です。暑い時ですので、無理のない範囲で少しずつ続けてみてください。筋肉量が増えると体を楽に動かせるようになり、疲れにくくなります。暑さ対策にもつながります。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」452号(2023年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。