正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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脳の若返り

若返りについて多くの研究が行われています。もちろん、まだマウスを使った段階です。老いたマウスに若いマウスの血液を輸血すると、老いた脳の能力を回復させるといったカリフォルニア大学の研究があります。オーストラリア・クイーンズランド脳研究所では、若返りに影響する血小板第4因子(PF4)が運動によって放出され、これにより脳の認知機能を改善することが確認されています。どちらもマウスの結果ではありますが、遠くない将来に「若返り」は夢の世界のことではなくなりそうです。

今の私たちにできるのは、運動することのようです。運動は心身の健康に良いことが知られています。運動すると体は疲れますが、爽快な気分や頭がすっきり、なんて経験は皆さんお持ちのことと思います。体の疲れは休むと取れますが、脳の疲れは休んでもとれません。体を動かしていない時も脳は動いているからです。見た目に脳の疲れはわかりません。頭がすっきりしているときと、何も考えられないというときのギャップが大きければ、疲れは見えます。ですが、多くの場合は気づかずに仕事を続けることを繰りかえすので、疲労が大きくなるのです。

脳を休めるためには、考えなくてもすむこと、無意識にできることをすると良いです。たとえば、歯を磨くことやシャワーを浴びることは、次に何をしようかと考えることなしに続けられることです。ランニングなどの運動も良いです。右足の次は左足を上げるなんて考えずに自然に体を動かすことができますよね。そういう繰り返しを黙々とするのです。

今は暑いので、もう少し涼しくなってからの私のお勧めは、草むしりとか落ち葉掃除です。目の前の雑草を黙々とむしる。目の前の落ち葉を淡々と片づける。これらは、何も考えずにできますし、終わった後は結果が見えます。「あー、きれいになった。おまけに運動になった。」こう感じることができると、最高です。お試しあれ。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」453号(2023年9月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。