正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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春になれば

ぽかぽか陽気になり、何となくそわそわわくわくしてくる季節になりました。新たに社会に出た方、進学・進級した方々にとっては、新たな挑戦に胸ふくらませる時かもしれません。そうでない私にとっても、芽吹く草花を見ては夢を膨らませるうきうきする春と言えます。

けれど、希望に満ちた春と言うだけではすまされないことがあるようです。新たな環境の雰囲気になじまない、何をして良いかわからない、とけ込めない、自分だけが浮いているような気がする、落ち着かない、イライラする、眠れないといった不調を訴える人が多くなるときでもあるのです。不安定な感覚を持ちやすい時なのです。

そもそも春は、冬の間静まっていた人間の身体の「気」が動き出すときといわれています。「気」の流れる道に支障があると、いろんな症状がでてくるようです。

実際、自律神経のバランスを崩しうつ病を発症する人が増えています。そんなときは、ゆったりと暮らすこと、形を整えることが大切です。早寝早起きが自分にあっていないと思うのなら、無理に合わせないことです。遅寝遅起きでもかまいませんが、睡眠のリズムを守ることです。そして、辛いときは早めに受診することです。気持ちの持ちようとか、気力で乗り切ろうとか、そんなことを考えると、いっそう辛くなります。うつ病はそういう方がかかりやすいかもしれません。朝早く目が覚める、ぼーっとする、体がだるいそんな状態でも、無理すればできる、その程度の症状です。無理は程々にすることです。

本来、悩めることは、悩みを悩みとして受けとめることは、健康に発達・成長するためには重要なことです。私たちにとって、危機状況は可能性を秘めているときというわけです。

ゆったり気分でお散歩や体操がおすすめです。時には人に頼ることも大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」257号(2007年5月7日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。