正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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脳を強くする運動

年をとったら体を動かさなくなるのは当たり前、しかたがないと思っていませんか。人間の身体や脳は、体を動かすとうまく働くようにできています。なので年をとっても、いいえ、年をとったらいっそう意識して動くことをお勧めします。

毎日動いているお年寄りの脳は、若いけれど体を動かさないという人の脳より健康的です。体を動かすと、次のような変化が起こります。

まず第一に、脳に届く酸素とブドウ糖の量が増えます。脳の細胞内の老廃物の排泄が促されます。そして、ノルアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質を増やすなど、神経伝達物質系が調整されます。同時に脳に良い酵素が増えていきます。また、脳への血流を妨げる悪玉コレステロールの濃度を下げます。これは、脳の再生や修理に必要なものを脳によく供給することになります。

第二に、ストレスが少なくなります。ストレス反応は生理的にけん制され、コルチゾールの分泌を抑えます。そのため、抑うつ的な症状が軽減します。血糖値が安定することで、気分と活力も安定します。

さらに、体を動かすと内分泌機能が高まり、免疫系を強くし、代謝を早くします。そして、カロリーを燃焼し、筋肉と骨を強くするのです。
このように、運動は脳や身体にとっては良いことだらけです。

運動するに当たっては、無理のない目標を設定しましょう。若かりし頃の身体能力や筋力を挽回しようとしても無駄です。無理はいけません。ただ、目標を持ったほうが、やる気はおきますし、自分がどのくらい進んだかを知る手がかりになるので、運動を続けることができるようになります。

大切なのは運動の効果を出すことです。この場合の効果とは、心臓に一時的に負担をかけて、心拍数を休んでいる時の一・五倍くらいにすることです。ただし、話すのも苦しいようでしたら、運動が激しすぎるということです。長続きすることが肝心です。身体を動かすことによって、自分の身体に自信を持てるようになりますよ。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」234号(2005年6月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。