正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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自分自身を創り出す

たくさんの選択肢を前にして、私たちは自分自身のライフスタイルを選ぶことができるようになりました。しかし、それは、自分のおかれている状況やその時代について良く知ったうえでのことです。これをしないと、痛い目にあう。時代に無理のあるものは、どんなに頑張っても、結果的には自分自身だけではなく、周囲を含めて満足行くものにはならないかもしれません。

かつては、生き方の方向性が定められていたと言えます。社会に出てからは、結婚、出産・育児、子離れ・親離れ、退職、老後の生活など、ある流れはありました。今はこの流れに拘束されることは、少なくなりました。自由に選ぶことができる一方で、逆に自分の選択には責任を持たねばならない、厳しい時代になったといえます。

さらに、選んだライフスタイルを貫こうとしても、それ以外の生き方をしている者から揺さぶられることもあるかもしれません。私たちは、生き方のモデルを持たない時代に生きているといえます。

そんななかでも、「自分らしく生きるとは?」を考えなければならない問題にぶつかります。就職の方向性の選択が自分について考えることになる人もいれば、結婚がそうなる人もいます。出産でその契機になる人もいるでしょうし、子どもが独立して始めて自分自身を見つめ直す人もいるでしょう。

このように、私たちは人生のいつの時期でも、自分自身と向き合い、考えることができるのです。特に、女性の場合は人生の中での役割変化が男性より大きいので、それを経験する場合はもちろん、しないとした場合でさえ、常に自分らしく生きることの問題は意識されます。

つまり、ライフスタイルは様々であっても、いつの時期でも、自分らしさを創り出すことができるわけです。自分らしさを考えていく、これが人生そのものなのかもしれません。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」262号(2007年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。