老いては子に従うか
あるひとが、ひとり暮らしのお母さんのことを心配をして、ああしたらこうしたら、とついつい言ってしまうそうです。そうすると、お母さんは必ず一言「あんたたちも二十年後にはこうなるんだ」と憎まれ口をたたく始末。で、親子げんかになるそうです。
これをどうとらえますか。このお母さんを反面教師とみて、自分も気をつけようと自戒しますか。
「老いては子に従え」という言葉があります。これは仏教書にある女性への教えの一部です。子どもの時は父母に従い、嫁いだら夫に従い、老いては子に従いなさい、と言うものです。「嫁いだら・・」という部分はさておき、これをどう考えますか。
今は、子どもがいないかもしれません。いても、同居していない場合が多いでしょう。平均寿命が長くなっているために、親も子も老いているということも少なくないです。九十歳のお母さんが、七十歳の認知症の娘の面倒をみているといった姿をみることだってあります。子どもにばかり頼っていられないのが現実です。
従うものがいないとき、遠慮なく別のものを探すことが出きるかもしれません。たとえば、自分の信じることに、これまで大事だった自分の価値観、生き方に沿って、おもむくままに生きるのも良いかもしれません。子どもや若者に迎合することなく、可愛い年寄りにならなくても、自立して生きていく。可愛くない、子憎たらしい年寄りになるのもひとつ。
ただし、そういう生き方を選んだ場合は、身体のサインを大切にすべきかもしれません。ちょっとくたびれたと感じたときには、無理せず、そこまでにして早めに休む。老いていなくても、もう若くないと感じたら身体が発する声に従う。自分の健康のためだけではなく、家族や周囲に迷惑をかけないコツともなるようです。老いては身体に従えです。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」263号(2007年11月5日発行)に掲載された記事です。
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