正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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眠れない、眠られない

人生八十年とすると、私たちは生涯二十年以上を眠って過ごすことになります。別の見方をしてみます。寿命を一〇〇%と考えると、たとえば、私は既に半ばを過ぎていますので、残りは四〇%。その三分の一が睡眠と三分の一が仕事ということになる。自分のために使える時間は、わずか一〇%ということになるわけです。時間を有効に使わなければならないと感じます。

時間を有効に使うためには、睡眠が重要になります。充電が大切ということです。ところが、数年前から、眠れなくて困っている人が多く、病院にかかっている人も少なくありません。また、その症状や原因はいろいろです。なかなか寝付けない人、目が覚めやすいといった場合もあります。これらはまとめて不眠症・睡眠障害といわれています。不眠の原因を考えて、自分はどのタイプか知ることは、よく眠るために大切です。

昼寝が長ければ、夜に眠くならないのはあたりまえのこと。年をとると、眠りが浅くなり、朝早く目が覚める、これも特別のことではありません。昼夜逆転タイプもあります。他に、緊張が強く興奮状態で眠れない、悩みや不安があって眠れない、環境が悪くて眠れないといったものもあります。うつ病などの精神病から睡眠障害に陥る場合もあります。そんな理由は特別にないのに、それでも眠れないという人もいます。

さて、それではどうしたらよいのか。眠れなくなった時には、まずは無理をして眠ろうと思わないことです。眠れないことは辛いですが、「眠らなくては」と焦ると、目はさえてくるものです。ただし、眠るための環境を整えることは大切です。寝室の温度や湿度、照明、音、マットの堅さ、枕の高さなどは睡眠に影響します。環境を整えたら、あとは横になってみることです。目を閉じて身体を休めるだけで、とりあえずは良し、と気持ちを楽にすることです。お酒に頼ると、途中で目が覚めやすくなります。適度な量が大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」266号(2008年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。