正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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春になると

春になると新陳代謝がよくなって、冬の間眠っていたいろいろな症状が芽を吹き始めます。まさに、木の芽時。昔から木の芽時は、身体に気をつけるよう言われています。血圧が不安定になったり、抑うつ的になったりしやすくなります。春になるとぽかぽか気分でうきうきして来るという人は、実は少なくなっているのかもしれません。

その代表格に花粉症があります。春になるとマスク姿の憂鬱になる人が急増です。新しい季節の春を喜んでばかりいられなくなりました。花粉症は国民病と呼ばれるほどに蔓延しています。そのうち、二〇%がスギ花粉症といわれていますが、地方特有の花粉症があります。北海道ではシラカバ花粉やイネ花粉が多いようです。

大人にも辛い花粉症ですが、将来苦しまないように子どもに注意することも大切です。たとえば、ヨーグルトなど乳酸菌飲料を摂取する、抗生物質をなるべく使わない、動物を飼う、小さいときから人と接する機会を増やす、適度に不衛生な環境を維持する、ことなどです。花粉症などのアレルギー性疾患は文明病。人間が科学文明を追求したために生じた免疫機能の低下といえます。なので、ある程度不衛生な環境で育つと発症しにくくなるわけです。

花粉症になりにくい食事としては、野菜と魚中心の和食がよいのですが、子どもの嫌うメニューであるかもしれません。肉、卵、牛乳などの高タンパクの食品をとりすぎると消化酵素の分泌が追いつかず、アミノ酸を十分に分解できないまま腸に吸収されてしまいます。分解が不十分で吸収されると、身体は異物と認識し抗体が増え、アレルギーを引き起こすことにつながります。とりすぎには要注意です。

また、ストレスと花粉症の関係も指摘されています。屋内でリラックスできることを考えることも大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」279号(2009年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。