正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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朝食抜きの健康法

毎朝しっかり朝ご飯はとっていますか?「朝食抜きは身体に悪い」と長く言われてきた一方で、朝食を抜くと身体に悪いというのはうそという「朝食抜き健康法」が注目されています。

「朝食抜きは身体に悪い」という点からみます。ここでは、血液中に含まれる糖分「血糖値」といわれるものと、体内の糖分をコントロールするホルモン「インシュリン」の関係から説明されています。食事をすると体内の糖分が増えるので、インシュリンが分泌され普段の血糖値に戻そうとします。血液中の糖分をエネルギーとして各細胞に送り、また肝臓に貯蓄します。

食べすぎは、肝臓だけで糖分を貯蓄できなくなるために、インシュリンは脂肪細胞に糖分を送ります。少ない食事の場合は、エネルギー源が不足となり、糖が放出されます。けれど、それまでは糖を大切に保管する身体になってしまうというわけです。

これに対して「朝食抜き健康法」は、栄養の過剰摂取が問題になる時代だから有効と指摘しています。朝食をとることよりも体重管理をすることが必要、排泄がしっかりすんでから食事をとるようにすべきで、朝は水やお茶で十分といわれています。

どちらを信じるかは、個人の生活習慣によると思いますが、朝食抜きの影響についてMRIを使って示した研究があります。イギリスのMRC臨床科学センターの21人の調査です。朝食を摂らなかった場合と、750キロカロリーの朝食を取った後にMRIスキャンし、その後昼食を提供したそうです。

朝食を抜くと、結局は1日の食事量が増え、健康的な食物を選択しなくなるという結果でした。おなかがすくと報酬価値や快楽に関連する脳領域に変動がみられ、高カロリーの食品を見せると脳の活性化となる。

ということは、朝食抜きの健康法が成功する人は、強い意志を持っていなければならないということです。食べ過ぎない、結局はここにいきつくようです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」323号(2012年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。