正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ストレス社会を乗り切るために

科学の力で豊かな生活が実現されていますが、その反面多くの人がストレスを抱えるストレス社会になっています。人間関係や仕事の重圧、環境問題と、私たちは常にストレスと隣り合わせの生活を送っています。

本来健康であれば、ストレスに打ち勝つことができるのですが、過剰なストレスに対応できず、さまざまな病気を引き起こしているのも事実です。特に、高齢になるとストレスの影響を大きく受けます。

老年期は喪失の時ともいわれています。①身体の健康を失う、②仕事からの引退、③子どもが独立する、④やる気や目的を失うなどです。これらの喪失は大きなストレスとなって、老年期に降りかかってきます。避けられないストレスとなるわけです。

本来、人間の身体は自分の生命を脅かす外敵からの刺激に防御反応を示します。ストレスも脅かす刺激のひとつです。そのため、脳がストレスを感じるとストレスに対抗するために最も重要な副腎に信号が伝えます。そして、副腎からストレスと戦う副腎皮質ホルモンを分泌します。

分泌が適切・適量の場合は、ストレスは緩和され健康維持につながります。けれど、持続的なストレスや強いストレスは副腎皮質ホルモンのバランスを崩すのです。ホルモンの分泌が過剰になると、興奮しやすく、神経質になり、動悸や血圧は上昇、食欲不振を起こします。逆に、副腎の疲弊により分泌が減少すると、無気力、疲労感、不眠、頭痛、アレルギーなどを起こします。

そこで、ビタミンやミネラルで副腎皮質を整えることが、ストレスと戦うホルモン作りに役立ちます。マグネシウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB、葉酸などです。ミネラルは神経を安定させる作用があるため、神経の興奮を穏やかにします。ビタミンは、副腎皮質ホルモンを生成する際に必要となります。

一緒にとることで、より高いストレスに対抗する力が期待できます。また、これらは動脈硬化や肌の老化予防にも期待できます。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」343号(2014年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。