正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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更年期障害

女性は更年期に入ると、疲れやすくなる、お肌の調子が変わる、スピードが遅くなるなど、心身の変化が現れるのが特徴です。閉経をはさんだ前後10年間に女性ホルモンが著しく減少し、心身ともに不安定になりがちです。自律神経が乱れやすくなるので、ストレスを抱える機会が多くなります。お肌の状態から、突然老けて見えることもあり、女性の更年期は老化の代名詞にもなっています。ただし、その後ホルモンは回復しますので、更年期は決して終わりの時期ではなく、これから先を考える節目ととらえると良いです。

男性の場合も同様に、男性ホルモンが減少することによって更年期障害となります。けれど、女性と違うのは見た目には大きな変化がでないという点です。男性ホルモンは第2次性徴をすすめる働きが中心です。一生の間の分泌の変化は女性ホルモンと違い、徐々に減るものです。また、加齢による変化に加え、ストレスによる減少もあります。

そのため、女性の場合は先に触れたように急に年をとったと感じさせたり、汗をかきやすくなったり、顔がほてっていたりと、外からもわかります。男性の場合はご自身では体が良くないと感じていても、相手にはそれが更年期障害によるものと気づかれないことになります。

男性の更年期障害として、一番初めに気づくのは体力の低下です。頭痛、肩こり、倦怠感、動悸など身体的な症状が現れます。また、精神的な症状からも更年期障害を引き起こす場合があります。うつ病がそうです。仕事に集中できなくなるというのは、更年期障害ではよくあること。記憶力の低下や注意力が散漫になりやすくなります。

男女の違いは症状より、現れ方と誘引となる理由の違いといえます。女性の場合は充電のときとドンと構えることが重要です。男性ホルモンは待っていても回復することはありません。食事の見直しや運動などの生活改善が必要です。ストレスに弱い時期ですから、決して無理をせず、ゆっくりとです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」352号(2015年4月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。