正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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強い心を保つために

イギリス・ロンドン大学の研究結果は衝撃的なものでした。肥満の人のほとんどは減量に取り組んでも正常体重には達しない、できてもその減量した状態を維持できる人はほとんどいないことが、明らかになったそうです。

2004年から10年間にわたるもので、17万人以上の体重を追跡した調査結果です。肥満の男女、特に重度肥満の場合、正常体重に達する確率が低い。達成したのは、1290人のうちたった1人。10年間のなかのある1年間で、肥満男性が正常体重まで減量する可能性は210分の1、女性は124分の1だったそう。

重度肥満とはBMIが35以上。BMI(体格指数=体重(kg)÷身長(m)の2乗)ですから、身長170㎝体重100㎏以上の人となります。正常体重はBMIが18・5から24、健康に最も理想的なのは男女ともに22です。理想は170㎝の人で63㎏です。そうなると、40㎏近く落さなければならず、これは大変なことでしょう。

ただし、血圧や血糖の低下といった変化をもたらすのには、体重の5%を減らすとよいと言われています。この可能性は高く、男性が12人にひとり、女性が10人にひとりが達成できています。それでも、この成功は長く続かず、78%が5年以内に元の体重に戻っているそうです。

重度肥満でなくても、衝撃の結果であり、納得のいく結果です。はっきりいえるのは、とにかく太ったあとはかなりの覚悟をしても、簡単には元に戻らないということ。また、減量しようとして挫折する現実を反映しています。

すでに過体重の人は、とにかくそれ以上体重を増やさない。減量の目標は正常体重におかず、まずは体重の5%減とする。リバウンドしても、自分の気持ちが弱いと思うのではなく、皆同じ。ならば、再挑戦と繰り返すことです。

身にしみる話です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」356号(2015年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。