正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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健康診断前にジタバタ

明日は健康診断。今年は外出の制限により、在宅勤務やテレワークが増え、
通勤時の歩きが減ったり、終日座りっぱなしだったりと、運動習慣に影響が出た私。
身体の重さは記録更新。暑くなっても食欲は期待のほど落ちることなく、
健康診断の前日になってしまいました。
健康診断の前日だけ禁酒したり、甘いものを食べなかったり、
そんなことをしたことはありませんか。

そんな悪あがきが健康診断の結果に反映されることは、良いのか悪いのかは別として、
保健師さんの指導を受けなくて済むのなら、それに越したことはない。
健康診断の前日の禁酒。肝機能の数値が高い人は、最低1か月程度禁酒しないと改善しません。
1週間前から禁酒しても付け焼き刃です。逆に、1週間禁酒できるなら、
全く飲まないのではなく、平均1日20g(ビール500ml程度)のアルコール摂取に抑えて、
1か月頑張ると数値が改善するかもしれません。

せめて体重だけは、と前日は食事を抑えて、あるいは食事抜きで健診に挑む人もいるはず。
ご飯を抜くと、水分の摂取量も減りますので、
確かに健診の体重測定の結果は良くなるかもしれません。
けれど、脱水症状に陥いると、尿酸値が上がったり
腎尿路系検査の項目に影響したりする可能性があります。
水分をたくさん飲んで、その分たくさんおしっこする。
それで体の中の悪いものを体外に出すと考える方が良いです。
極端な糖質制限を続けていると、健康診断で血糖値などの糖代謝検査について
正常な判断がしにくくなる危険性があります。
糖尿病患者のガイドラインでも1日150gは糖質を摂りましょうとされているほどです。
糖質制限を実践中でも健診の3日前からは1日150g、お茶碗約3杯分のご飯を食べることをお勧めします。
健康診断前日のジタバタはあまり意味なく、激しい運動すると腎機能に影響を及ぼすこともありますので、
普段通りおとなしくしているのが一番のようです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」417号(2020年9月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。