正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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カロリーを消費させるための歩き方

食欲の秋。冬にむかって脂肪のつきやすいこの頃。軽やかな春をむかえるための良い情報です。

アメリカのオハイオ州立大学の研究で、ウォーキングのやり方次第でカロリー消費が変わるという報告がありました。この研究では、歩行速度を変えながら歩くことで最大20%多くのエネルギーを消費できるそうです。

これまでウォーキングの効果を検討した研究のほとんどは、一定のスピードで歩行することが前提でした。しかし、人間はトレッドミルの上で普段生活しているわけではありません。いつも同じ速度で歩いているわけでもありません。歩行速度を変えたときの代謝エネルギーコストはたいへん重要な指標であり、今回、この歩行速度を変えるだけでウォーキングのエネルギー消費量が大幅に上昇することがわかったわけです。

この報告には、身体の動きを「スタート」し、「ストップ」することで消費するエネルギーは、1日の通常の生活動作で消費するエネルギーの約8%を占めているとしています。しかし、このような消費エネルギーは消費量の推定値に含まれていないことが多いそうです。

研究の解説では、「どんな速度でもウォーキングはエネルギーを消費するが、歩行速度を変える動作はアクセルを踏むようなもの。身体の運動エネルギーを変えると脚をより多く動かす必要が生じるが、この過程は確実にエネルギー消費量をさらに増加させる」とされています。この研究では加えて、人間は短い距離を歩く際には遅く歩く傾向があり、逆に長い距離を歩く際には速く歩く傾向があることもわかっています。

そうなると、より多くのカロリーを消費したい時は、①しばらく歩いてとまるを繰り返すこと(信号待ちは大切です)、②早歩きとゆっくり歩くことを交互にすること、そして③まっすぐ歩くのではなく、くねくね曲がって歩行すること、などは効果的となります。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」359号(2015年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。