正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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私はよく転ぶ

子どもの時からよく転んでいた私。50を過ぎてからはいっそう転ぶことが多くなったような気がします。私の場合、子どもの時の転倒は内股歩きのためです。親が心配するほど良く転んでいました。成長するにつれ、自然と治ったようです。

大人になって、老化を感じた頃からの転倒もつまずきが多いようです。何もないところでよく転ぶといわれますが、タイルの目地やカーペット、滑らないワックスをかけた床は危険なところ。そんなところで躓きます。足を上げて歩いていないこと、姿勢が悪くなっていることを痛感します。また、忙しくなると転倒が多くなるような気もします。考えごとをしながら階段を上り下りする時は要注意です。

私の母は「よいしょ、よいしょ」と掛け声をかけると集中できるので、転ぶことが少なくなるといいます。友人は階段を上る時は、「上がれ、上がれ」と足を上げることを意識すると、余計なことを考えずに済むので、効果があると話します。皆、それぞれ工夫をしているようですし、同じような経験をしているのだと感じます。

私は立ち上がるときは、「私はモデル」と背筋を意識しおなかをへこますようにしています。けれど、歩きだすとすぐに忘れて背中が丸まり始め、人類の進化の過程の図の逆になっていきます。鏡に映ったわが姿にびっくりし、悲しい気分になります。

転ばずに格好良く歩くために、かっこいい声かけや魔法の呪文があると良いなあと思います。それを見つけるまでは、転ばないための予防をするしかないようです。バランス能力や筋力からなる姿勢の変化、視力をはじめとする感覚の低下、認知の衰えなども原因となります。このほかお薬の影響、不十分な照明、段差などが転倒リスクを高めます。余計なものは取り除く。身体を鍛えておくことが転倒予防になるようです。足腰を鍛えること、歩くことは大切です。そして、歩く時には自分の足にあった靴を選ぶことです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」364号(2016年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。