正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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暑さに負けないからだ

8月を迎え、いよいよ夏本番です。しかし、すでに暑い。涼しすぎると思っていた7月上旬のことを、すっかり忘れてしまうほど。台風も異例のコースをたどり、大雨による土砂災害を警戒しなくてはならない。山と海に囲まれたところで生活している私たちは、生き抜く知恵が求められます。

空調のきいた屋内と屋外の間に生じる急激な温度変化、大量に汗をかくことによって生じる水分とミネラル分の不足は、自律神経に不調をきたします。やる気が出ない、体がだるい、食欲がないといった症状が現れます。身体の本来の機能が正常に機能せずに、疲れ果てる、ばてる、夏バテ状態です。

夏バテ状態をそのままにしておくと、抵抗力が低下し、夏風邪をひきやすくなります。また、生活習慣病のリスクを高めることにもつながります。

なので、夏バテしにくい健康な体を作ることが必要です。まずは、何事にも負けないからだ作りから考えます。栄養、運動、睡眠、これはすべての基本となるものです。

暑い時には疲労感を覚えるために、疲労回復、食欲を増すことを第一に考えることです。

最も効果的な疲労回復にはビタミンB1の摂取です。消費されたエネルギー源を補給します。豚肉、鰻はその代表。枝豆や玄米などもよいです。ビタミンB1を効率よくするためには、にんにく、ニラ、玉ねぎが助けとなります。

食欲増進には、胃腸の働きを活発にし、胃液を分泌促進するものが必要です。レモンや梅などのクエン酸がそうです。胃腸の消化吸収を助ける働きはネバネバ成分が良いです。オクラ、長芋、なめこなどです。

これに免疫力アップのβカロテン(ニンジン、トマト、ホウレンソウなど)や、ビタミンCの摂取を加えてください。

熱中症の予防には、熱をこもらせない体つくりも大切です。それが運動です。運動は体内の血流が増加し、皮膚から熱を発散させる能力が高まります。これを維持することで、暑い時にも体温を調整する機能が効率よく働くのです。もちろん、この時も水分と塩分の補給は必要です。

眠るための工夫が必要です。寝室の環境は大切にしましょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」392号(2018年8月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。