正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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夏の疲れを引きずっていませんか

10月に入りました。今年の夏は暑く、9月も暑さが残りました。さらに台風に地震という自然災害が続きました。少しずつ、落ち着きを取り戻していますが、皆さまは大丈夫でしたでしょうか。秋到来ではありますが、疲れやすい、何となく身体がダルいといった、夏の疲れを引ずってはいませんか。夏の間に弱った体力がまだ回復しきっていないことも多いかもしれません。

ダルさの原因を考えてみます。暑さで食欲不振が続き栄養不足になってはいないでしょうか。食べているつもりでも、栄養が取れているとは限りません。料理を作るのが面倒であったり、災害で落ち着いて食事できなかったりすると、簡単に「隠れ栄養失調」になります。

低栄養で一番不足しがちなのはタンパク質です。タンパク質の働きは、筋肉を動かすこと、栄養や酵素を運ぶこと、細胞を正常に保つこと、ウイルスから守ること、血管や内臓の構造を維持すること、光やにおい、味を感じることなど大切な機能に影響します。

これに冷房の効いた室内と暑い外の温度差で、自律神経が乱れて体調不良が加わります。また、冷房の効いた部屋にいる時間が長くなると、身体の冷え、肩こり、腰痛、むくみがだるさを増すことになるわけです。

このような疲れのケアが必要なのです。身体のケアの基本は、やはり栄養と睡眠です。夏の疲れも同様です。

まずは、食事です。疲労回復効果のあるビタミンB1とタンパク質をとるのが効果的です。豚肉、鰻、レバーは最適です。ですが、胃腸の弱っている時には少々つらいかもしれません。その時には豆腐や納豆などの大豆製品でも十分含まれていますので、無理せずいただくことができるものです。外はまだ暑くても、身体は冷えています。冷えは血行を悪くし、だるさの原因となります。なるべく、温かい飲み物や食べ物を選ぶようにすることです。

睡眠不足の解消にもシャワーで済ませず、ぬるめの湯船にゆっくりつかり温めること、十分に睡眠時間をとって体を休めることです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」394号(2018年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。