仕事と遊びの連続性-子どもにとって
私たちは、遊びは生活の一部であると考えていますが、子どもの生活においては、その大半が遊びで占められています。子どもは遊ぶことを中心に生活しています。特に幼ければ幼いほどそうです。成長するにつれて徐々に仕事の比重を増し、青年・成人期では遊びは生活全体の中では時間的割合を減らしていきます。しかし、老年期になりますと再び仕事の割合は少なくなり、遊びのための時間が豊かになっていきます。一生を通してながめてみると、遊びの比重は、決して生活の一部という様なものではなく、かなりの部分を占めるといえるかもしれません。
子どもの生活をとおして遊びの持つ役割を考えてみます。子どもが学ぶのは主として遊びからです。自分が聞いて、見て、触って、味わったことから周囲の世界について学びはじめます。子どもは遊びの中で育っていくのです。遊びを通して周囲との関係のあり方や、自分というものをつかんでいきます。これは社会的存在となっていくための学習といわれていますが、それがしつけや学校での勉強ではなく、遊びを通して学ばれていくことに注目しなければなりません。少子化の上、受験戦争の厳しい現在、まだ幼いうちから習い事に追われる子どもたちの行く末が心配されています。遊ぶ経験の乏しさが豊かな人間性を身につける上でマイナスにならないか、という心配です。テレビゲームやインターネット、携帯電話に熱中することも、奇妙なことに他人と遊べない子どもを作るということで、心配の種となっています。奇妙なことというのは、これらの道具がおもちゃであり、子どもにとっては遊びだからです。それが他の子どもたちや自然との交流に満ちた本来の遊びから遠ざけるものとして危惧されているのです。子どもにとって遊びが豊かな人間性を作り出す唯一のものであることを知っているのです。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」164号(1999年8月5日発行)に掲載された記事です。
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