思春期 親からの自立
思春期の重要な課題として、親からの独立があります。小さい時には親の庇護のもとでしか生きられず、大きくなってからも、親とのつながりが重要であることは事実です。しかし、いつまでも親と子という関係の中にとどまっているわけにはいきません。いつかは、親から離れてパートナーを見つけ、新しい関係を作り上げていかねばならないのです。そのための準備段階として生じたのが、第二反抗期と呼ばれる現象です。生物学的には性的成熟により、自分が親になるための準備は整っています。それでも子どもとして過ごしてきた長い時の習慣を一挙に投げ捨て、大人にいっぺんに成長できるものではないため、さまざまな「行きつ戻りつ」の修羅場が展開されるのです。
思春期の親に対する反抗は、子として自立してゆくための、不可避的なものです。親と子が苦悶しながらこの修羅場を生き抜いてゆくことが重要なわけですが、それがうまくいかず、いつまでも親から自立できない例も珍しくありません。そのような例の特徴として、いくつかの点が上げられます。
ひとつは、親の側に子どもの反抗を受けとめるだけの力が備わっていない場合です。子どもが、自分の腹立ちやいらいらを容赦なく親にぶつけるためには、どこかで自分の親が試練に耐えられる心身両面の力を備えていることを信じているからに違いありません。私たちが、壁にもたれたり、蹴りあげたりするのは、その壁が頑丈で、滅多に壊れないと信じているからです。親の脆さを感じている子どもは、親を破壊してしまうことを恐れ、思い切った反抗ができないのです。第二反抗期というこの「独立戦争」を経ていない青年は、一見物わかりの良い賢明な存在のようですが、その内面に真に自立できない葛藤を抱え込んだままであることも珍しくありません。現在はこの手の問題が大きいかもしれません。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」171号(2000年3月6日発行)に掲載された記事です。
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