正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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健康になるための作業

私たちは、朝起きてから夜眠るまでの1日の間に、いろんな作業をして過ごしています。
生まれてから死ぬまでの一生を通して考えますと、非常に多くのさまざまな作業をしているといえます。
ここでいいます作業とは、
食事や入浴、更衣動作などの身の回りの始末に関する活動であったり、
家事や育児を含む日常生活のために必要なもの、
仕事や学習、そして、趣味や遊びなど、生活全般に関わる諸活動をさしています。
これらの作業によって、私たちは何かしら癒されています。

みなさんはストレス発散のために何をなさるでしょうか。「ストレス発散」といいながら、
あるいは「やけ食い」といいながらおなかいっぱい食べることありませんか?
「憂さ晴らし」にお酒を飲みませんか?
仲の良い人に泣きつき、思いっきり愚痴を言ったことありませんか?
それとも、スポーツで汗を流しますか?
バーゲンでお買い物した後はすっきりしませんか?映画でしょうか。デートでしょうか。
時には単純な作業、たとえば歯を磨くことで気持ちが切りかわることもあるでしょうし、
おいしいお茶を入れることで、何を怒っていたのか忘れちゃうこともありますよね。
子どもの笑顔につられてつい笑ってしまい、その後幸せな気分になったことはありませんか?
これは作業の持つ癒しの力です。ただし、どんな作業でも何にでも癒されるというわけではありません。
個人にとって重要なこと、意味や価値のあること、
大切な人に関わること、何かに挑戦すること、
そして自分の能力はまだまだ大丈夫と感じさせるもの、そんなことに癒されます。
また、それらの作業は、心地よい「快」の感情に訴えるものです。
うれしい、楽しい、おいしい、気持ちいいことでもあります。
これらの感情を周囲の人と共有すること、それはとても大切なことです。
人間は決してひとりで生きていません。取り巻く環境を味方にすることが癒しとなります。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」200号(2002年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。