正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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もうすこし、冬の養生しましょ

     - 鍼灸治療

この冬は寒さがいつもより厳しいですね。
冬は地から湧きおこる冷気がカラダやココロの動きを鈍らせます。
東洋医学では病いが起こる要因が季節ごとに6つあると考えています。
冬の病いの要因は寒邪。寒邪は陰(いん)の力が強く全身を冷やし、
あらゆるものの動きを滞らせる特徴があります。
カラダの中で寒邪の影響を受けやすいのは五臓の腎です。腎は生命の活動の基本である精気を蓄えています。
ここが冷えると精気がうまく貯蔵できず、気分が落ち込み、パワーも出ません。

東洋医学の古典『黄帝内経』には冬の過ごし方について次のように書かれています。
「水が凍り地は裂ける。人は陽を乱さないように早寝し、必ず日光を待ってから起きる。
志を内に潜ませて隠れるようにし、寒を避け、暖を取り、皮膚を外にあらわさず、気を外に逃さないようにする」
寒さが極まるこの時期、植物は地上部を枯らして、根に栄養を蓄えます。
動物は動きを減らし冬眠するものもあります。
人も同様で自分の中にあるエネルギーを表に出して消耗しないように気をつけましょうということですね。

日常生活のほかに食事にも少し注意を向けてみましょう。
寒邪の影響を受けやすい腎を助ける食材のキーワードは黒と鹹味(塩味)です。
黒豆や黒米、黒ごま、木耳、椎茸、小豆など黒い色の食材を意識して摂りましょう。
昆布、ワカメ、ひじきなどの海藻は黒くて鹹味を持っているのでこれらも活用したいものです。
大根、にんじん、ゴボウ、山芋など根菜類は植物が蓄えたエネルギーをいただくことができますのでおすすめです。
今年の立春は2月3日でした。まだまだ寒い日々が続きますが、
日の出がすこしずつ早くなり、日の入りがすこしずつ遅くなるのがうれしいこの頃です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」422号(2021年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
工藤由美子
F&E鍼灸院 院長

●鍼灸師
●不妊カウンセラー
●介護予防運動指導員
●ヨガライフ協会認定インストラクター
●アロマテラピーアドバイザー
●メディカルハーブコーデネーター

著者メッセージ
ヨガインストラクターを長く続けさせていただくうちに、身体の故障や不調にマンツーマンでアプローチできる方法を学びたいと思い、鍼灸師の資格を取得しました。体のしくみや病気の勉強をしていくうちに当ヨガ協会の教え「食・心・動」の大切さをあらためて実感しました。四季を感じ、無理をせず、無駄をせず、心たのしくヨガをしていきたいと思います。