ほうろく灸
- 鍼灸治療
「ほうろく」とはそもそもなんでしょう?ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、何かしら?と思われた方もいらっしゃるかと思います。漢字では「焙烙」と書きます。素焼きの平たい土鍋ですが、ほとんどお皿に近い形状です。米、ごま、豆、塩などを炒るのに使うものだそうです。その平たいお皿状のものを頭に乗せ、もぐさをおいて火をつけ頭頂にある百会(ひゃくえ)のツボを刺激するのがほうろく灸です。ほうろく灸の由来はさまざまあります。
空海が広めた、日蓮が広めた、戦国時代の武将が夏バテした際に兜の上からお灸をすえたところたちまち元気になったなど。江戸時代に夏を元気に乗り越える「ほうろく加持」としてお寺などで行われていました。もぐさが燃えているあいだお坊さんがご祈祷して暑気払い、無病息災を祈願しました。今も本州の方のお寺では行われているところがあります。夏至に行うところもありますし、毎月、日にちを決めてというところもあります。
私たちのカラダは暑い夏を乗り越えようと「自律神経」が働きますが、現代では冷房で冷やしたり、冷たいものを摂取したりと人工的に冷やすことが多く「自律神経」の働きが乱れ、夏バテや熱中症など不調が出やすくなります。ほうろく灸では、百会に働きかけ自律神経を整えます。
写真はコロナ禍の前にもぐさやお灸の本場、滋賀県の近江に行った時に体験したほうろく灸です。当院でも実施し、みなさんに体験していただきたいところですが、ご覧のようにかなりの量のもぐさを燃やしますので煙の問題があり、なかなかむずかしいです。来年の夏至あたり屋外で実施したいなぁと思っています。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」451号(2023年7月5日発行)に掲載された記事です。
著者 ●鍼灸師 |
|
著者メッセージ |