正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

お屠蘇

     - 鍼灸治療

明けましておめでとうございます。

新しい年の初めの縁起物といえば「お屠蘇」ですね。地域によっては日本酒がそのまま使われるところも多いようです。年末になりますと屠蘇散というものがスーパー、薬局などで売られています。その屠蘇散を日本酒と本味醂3:1(お好きな割合でも良いそうです)の割合で混ぜ合わせた中に5時間〜8時間浸すと「お屠蘇」のできあがりです。

お屠蘇は屠蘇散、屠蘇延命散、屠蘇白散とも言われ、漢方薬です。約1800年前の中国の名医 華陀が処方したのが始まりといわれています。日本に伝わったのは諸説ありますが遣唐使により平安時代の宮中に持ち込まれたと考えられています。

屠蘇散は次のような漢方薬から構成されています。

白朮(びゃくじゅつ)キク科
 オケラの根茎 健胃、利尿

桔梗(ききょう)キキョウ科
 桔梗の根  鎮咳、去痰

山椒(さんしょう)ミカン科
 サンショウの果皮  健胃、駆虫

防風(ぼうふう)セリ科
 トウスケボウフウの根  解熱、解毒

桂皮(けいひ)クスノキ科
 シナニッケイの樹皮  健胃、解熱

陳皮(ちんぴ)
 ウンシュウミカンの果皮  健胃

丁子
(ちょうじ)フトモモ科
 チョウジの蕾  健胃、殺菌

屠蘇散が伝わった当時は天皇や貴族のものでしたが時代を経て武士、富裕な商人さらに江戸時代になると一般庶民にも身近なものとなりました。含まれている漢方薬の効能をみましても胃腸の働きを整え、喉や気管を保護し風邪の予防にも役立つ成分です。新しい年の初めに家族の無病息災を祈念するお正月にピッタリの飲み物です。

今年一年、みなさまがすこやかに過ごされますようにお祈りいたします。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」457号(2024年1月5日発行)に掲載された記事です。

著者
工藤由美子
F&E鍼灸院 院長

●鍼灸師
●不妊カウンセラー
●介護予防運動指導員
●ヨガライフ協会認定インストラクター
●アロマテラピーアドバイザー
●メディカルハーブコーデネーター

著者メッセージ
ヨガインストラクターを長く続けさせていただくうちに、身体の故障や不調にマンツーマンでアプローチできる方法を学びたいと思い、鍼灸師の資格を取得しました。体のしくみや病気の勉強をしていくうちに当ヨガ協会の教え「食・心・動」の大切さをあらためて実感しました。四季を感じ、無理をせず、無駄をせず、心たのしくヨガをしていきたいと思います。