ラワンぶき
ラワンぶきは日本一大きいフキで、高さ3メートル、
茎の直径は10センチメートル「フキの怪物」と呼ばれていますが、
十勝の足寄町の螺湾(ラワン)地域に自生しているアキタブキの仲間です。
2001年10月に北海道遺産に選定されているため苗や種を足寄以外に持ち出すことは禁じられています。
6月中旬から7月上旬に収穫され、足寄町の特産品になっています。
東北には大型のアキタブキがあります。葉柄の長さは2メートル,葉の直径が1.5メートルにもなります。
不思議なことにこのフキを東京あたりで栽培しても大型にはなりません。
風土による植物の変異をしめす良い例だと思います。
フキの原産地は日本。キク科の多年草です。
全国の野原や山地に自生していますが、栽培もされています。
牧野富太郎博士は「日本植物図鑑」で
フキの漢名に蕗とか款冬(カントウ)をあてるのは誤用だと書いていますが、
現在でも中国ではフキを蜂斗葉などと呼び、款冬にはフキタンポポを当てています。
昔の本草書には款冬を日本のフキにあて、
「冬になって花(フキノトウ)が咲くから名づけられた」(大和本草)とか
「薬に花を用いるから款冬花という」(本草綱目啓蒙)と述べています。
フキの薹にはクエルセチン、ケンフェロール、苦味質、精油、ブドウ糖,アンゲリカ酸、
カプロン酸、カブリル酸などの成分が含まれています。
フキの葉にもサポニン、タンニン、コリン、酒石酸などが含まれ、
消化を助け、痰切りや咳止めの作用があることも分かっています。
古くから漢方処方で用いられてきました。日本の民間療法でも重宝がられています。
ラワンぶきは一般的に流通している山ブキに比べてアクが少ない。
カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富で食物繊維も多く、ポリフエノールを含有しています。
私の田舎ではフキは春を呼ぶ味でもありました。
フキの薹を生のまますりつぶして味噌に混ぜ、砂糖や味醂で味付けしたのがフキ味噌。
きゃらぶきも忘れられない味です。
切口を揃えて蕗の煮付けかな 川崎展宏
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」414号(2020年6月5日発行)に掲載された記事です。
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