正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ショウガ

     - クスリになる食べ物

ショウガは、においのきつい食べ物ですが、このにおいが
体にとって良い方向に作用してくれることもあります。
現代人特有の病気の一つに不眠症があります。
眠れないつらさは、実際に罹った人でなければ、なかなか理解できないだろうと思います。
しかし、眠れないからといって睡眠薬などを使うと、副作用に悩まされてしまう。
そんな時、ショウガは意外な効果を発揮してくれることがあります。

私の田舎では、直径10センチほどの皿に細切りにしたものを並べます。
この皿を枕元に置くだけですが、自然に香りを吸い込み、精神の安定を得られ、
いつの間にか気持ちよく眠ってしまうというわけです。

また、ショウガは「嘔吐の聖薬」といわれます。
体を芯から温める食品や薬草はいろいろありますが、
一番手っ取り早く、多く使っても害を生じないものがショウガで、体が温まり健胃作用があるからです。
「魏志倭人伝」や「古事記」に記述がありますように、
我が国では古くから風邪の引き始めや吐き気に効果があるとして用いられてきました。
中国では古医書「神農本草経」に収載されていますが、
薬物としての歴史は古く、漢方では今も重要な薬物として用いられています。

ショウガを食べると毒消しになるということから、寿司などの折り詰めにも必ず入っています。
当初は薬として日本に入ってきましたが、効果の範囲が広い上に効き目も強く毒性がないために、
薬味として使われるようになりました。
ショウガには体を温めて冷え性を改善するほかに、胃液の分泌を促し、胃壁の血流を増加させ、
殺菌作用を発揮して食中毒を防ぎ、胃を丈夫にしてくれるからです。
辛み成分はジンゲロンやショウガオール。特徴のある香の成分はジンギベレンやシトロネラールです。

ショウガの野生地は不明だそうですが、原産地は西南アジアで、
紀元一世紀に書かれた礼記、史記に四川や江南の重要産物としてあげられていますので、
それより古い時代から栽培が始まっていたと思われます。
日本には稲作などと一緒に中国を経て伝えられたものと思われます。

新生姜いつも厨に買い置きて  久保田昌子

 

ショウガ


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」417号(2020年9月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。