ウイキョウ
最近、日本で栽培されている香味料植物の多くは、欧米から導入されたものが多いのですが、
それらは一般にハーブとかシーズと呼ばれています。
ウイキョウは、セリ科の多年草で、全草に一種の芳香があります。
セリ科植物は、概ね芳香性の精油を含んでいますが、とくに果実は、特徴のある形をしています。
ウイキョウは日本では、古くから利用されてきたものです。
平安朝では『和名抄』に「呉の母(くれのおも)、懐香(くわいきゃう)」の呼称がみえます。
これがウイキョウの古名です。
また同じように平安初期の『本草和名』には「懐香子(くわいきゃうし)、時羅(じら)、
香芸(くわううん)、和名『久礼及於毛』(くれのおも)」とあります。
薬用としてのウイキョウは、果実を精製してウイキョウ油をとり、
去痰、胃炎、腹痛、感冒、利尿、駆風(腸内ガスの排出を促す)します。
主成分はアネトール、フェンヒョン、ピネン、ジペンテン、アニスアルデヒドなどです。
ウイキョウは魚料理、肉料理、ソースのほか、
菓子類、リキュール、ベルモットなどに多量に使われます。
ウイキョウは古くからローマ、エジプト、インド、中国などで料理に使われてきましたが、
いまではフランスやイタリア料理には欠かせないものになっています。スープやシチューにも加えられます。
中国でもヨーロッパにおとらず、五香羊肉(ウーシャンヤンロウ)という北京料理があります。
羊の肉を醤油と五香という香料で煮つめたもので、羊特有の臭みが少しもない、酒のさかなとして絶品。
五香というのは肉桂、丁字、茴香、山椒、陳皮(ミカンの皮)を粉末にして混ぜたものです。
恋人の
逢ふがみじかき夜となりぬ
茴香の花たちばなの花
与謝野晶子
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」221号(2004年5月6日発行)に掲載された記事です。
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