エノキダケ
エノキダケは、形がナメコに似ていて、ぬめりがあるので、ナメコと呼ばれることがあります。スーパーのコーナーに出始めの頃は、モヤシとよく間違われたエノキダケですが、いまはすっかり定着して人気を集めています。
エノキダケの歴史は古く、「本朝食鑑」(一六九五)の菜部には、榎茸として記載されています。恵乃木多計と読むともありますが、「このキノコはエノキの木および老根枯株に生ず」とあります。また、エノキダケの好きな家老がいて、エノキの大木を切って穴蔵のなかにおき、しめった稲藁でおおい、二、三日、日に一回か二回冷たい米汁をそそぐ。すると、しばらくして多くのキノコが出てくる。これを食べると味がたいへんよいという意味のことが書いてあります。
野生のものはこのことからも想像がつくように、いろいろの広葉樹の切り株に、秋から冬にかけて束生します。寒い地方が栽培に適し、十一月から二月にかけて、雪の下に埋もれた枯れ木から、雪を割って伸びてくるマツタケ科のキノコです。冬の雪のなかで取れるため、福島地方ではカンタケ、山形地方ではユキノシタと呼ばれています。
いまではオガ屑と米ヌカだけで簡単に栽培できますが、アメリカのジョージア州のアトランタ市では、ジョージア・マッシュルームとして売り出しているそうです。
エノキダケの野生種は、傘のぬめりの口当たりが喜ばれますが、栽培種のほうは、茎の歯ざわりが歓迎されるようです。エノキダケは繊維やビタミン、特にビタミンB1が多く、生シイタケの四倍も含まれています。市販のものは水分がほとんどですが、カロリーが低いので、肥満を気にする人に喜ばれています。
朽木とな
おぼしめされそ榎茸
嵐 雪
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」227号(2004年11月5日発行)に掲載された記事です。
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