正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ホウレンソウ(菠薐草)

     - クスリになる食べ物

ホウレンソウは疲労回復や精力増強のための健康野菜の代表格です。TVマンガ「ポパイ」の印象が強く残っていますが、もともとホウレンソウの花言葉は「健康」です。古くから漢方生薬(生薬名は菠稜‐はりょう‐)のひとつで、健康維持や病気の予防、時には病気の治療に用いられてきました。

ホウレンソウの効能は、まず消化液の分泌を促す働きがありますので、胃腸病の予防に効果が期待されます。また、尿酸を排泄する作用がありますのでリウマチや痛風にも有効ですし、葉緑素や鉄分が含まれていますから貧血の症状を和らげるのに役立ちます。

また、ホウレンソウに含まれるβ-カロチンは、体内でビタミンAになります。ビタミンAが欠乏すると、はじめのうちは食欲が減退して、成長が停ったり、抵抗力の減少などが見られます。また病気の回復が遅れて、骨の損傷、増血の不調、不妊、先天性奇形などの症状を引き起こすこともあります。夜盲症や角膜にいろいろな変化が起こるのもビタミンAの欠乏が原因です。こうした症状を改善するためにはビタミンAを積極的に摂取することが一番です。とりすぎますと脱毛、頭痛、肝臓肥大、その他健康障害を招いてしまうことがありますが、ふつうの食生活では、その心配はありません。

ホウレンソウには蓚酸が多いので病人には食べさせないほうがよいという人もいますが、これは調味料の使い方に問題があります。良質のタンパク質といっしょに食べると蓚酸が分解されます。ですから昔から伝えられてきたようにカツオ節をふりかけてホウレンソウのおひたしを食べるようにすると無害です。また、カルシウムは蓚酸を排出する働きがありますのでコンニャク、ゴマ、海藻類などカルシウムの多い食品といっしょに食べると全く問題はありません。根の赤い部分を捨てる人がいますが、ここにはマンガンが多く含まれています。マンガン不足はリウマチや関節炎になる恐れがありますので、丸ごと食べるようにしましょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」172号(2000年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。