正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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チョロギ

     - クスリになる食べ物

正月のおせち料理で、黒豆に添えたチョロギの梅酢漬けにお目にかかれるという話をしたら、不思議な顔をした友人がいました。百合根に似た味がして、歯ざわりがいい。特別にうまいものではありませんが、西洋料理では茹でて、バターでいため、グレビーソースで食べるそうです。グレビーとは、肉を煮たり焼いたりしたときに出る肉汁のことで、この肉汁を布でこし、塩、コショウなどで調味して、小麦粉などで濃度をつけたものがグレビーソースです。

秋田は酒どころで有名です。あのころ(筆者の若かりしころ)秋田の小料理屋には可愛い女の子がいましたし、ガッコの宝庫でもありました。ガッコは漬物のことですが、雅香というみやびた字を当てています。数ある漬物のうちで、辛党にはなんとも堪えられないチョロギのみそ漬けです。

チョロギは中国の原産で、シソ科の多年草です。日本には中国から渡来した栽培植物です。塊茎が巻き貝の形に似ているところから、草石蚕(そうせきさん)という名前もついています。チョロギの名の起こりは、朝露が落ちて、土の中に出来た球、つまり、朝露葱(ちょろぎ)のこと、別に朝鮮語のミミズ(ジロンイ)から転化したものともいわています。地方によってはジョウロギ、チョロキチ、チョロク、ネジリイモ、ヒダリネジ、ヨメノゾキ、クビレイモ、ビンロージ、ギリイモなど、多くの方言があります。

塊茎はデンプンを含みませんが、スタキオース、コリン、スタキドリンという成分があります。スタキドリンは、中枢神経系に対して鎮静作用があることが分かっています。また、血圧を降下させる働きもありますし、心臓の収縮力を強める働きもあって、子宮を収縮させる薬としても利用されます。漢方ではチョロギの効用をいくつかあげています。「五臓を利す、気を下す、神を清める」といいますが、これは内臓の働きをよくし、新陳代謝を活発にして、精神を安定させるという意味です。

ねぢれたる
ちょろぎを噛める前歯かな
草間時彦

22045522


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」228号(2004年12月6日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。