正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ギョウジャニンニク

     - クスリになる食べ物

作家の檀一雄は、文壇の食通として知られたが、彼は『わが百味真髄』で、釧路ではじめて接したアイヌネギのことを書いています。-北海道の山菜のなかで、もっとも人気のあるものの一つであるアイヌネギは、ギョウジャニンニク(行者大蒜)のことである-。釧路でアイヌネギの野趣に接した彼は、野生のアイヌネギにはお目にかかれず、とうとう宗谷岬の近くで、解けかかった雪の下に、念願の野生種をみつけ、東京の家まで持ち帰った。そして庭に植えて手入れしていたが、留守中に植木屋に引っこ抜かれてしまう。檀一雄の無念さが見えるようです。

ギョウジャニンニクは、ユリ科の多年草で、深山や北辺に群生します。北海道では畑でも栽培しています。葉は扁平の長楕円形で大きく、スズランそっくりなので、北海道の旅行者によくまちがわれます。

ギョウジャニンニクの料理法は、ネギと同じで、汁の実、煮物、揚げ物、ひたし物、和え物、油炒め、天ぷら、ゆでて酢の物、塩漬けや醤油漬けなど、いろいろです。

更科源蔵の『コタン生物記・1』によると「流行病などがはやってくると、まくらの中に入れたり入り口や窓のところにさげて、病魔の鼻をねじりあげた」とありますが、鱗茎にはにんにくに似た辛味があります。おろしたり、刻んだりして用いると、夏バテ、体力増強、強壮、強精に役立つといわれています。

ギョウジャニンニクの名前の由来は、昔、山伏などの修験者が、山中で食べたのがはじまりですが、他に、行者にんにく、ヒトビロ、キトビロ、ヒトビル、ヤマビル、テンダイビル(天台蒜)の名があります。

ニ三本蕾向け合ふアイヌネギ
前田普羅

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この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」231号(2005年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。