莢インゲン
インゲンマメは、若莢を野菜として利用する莢インゲン用と、煮豆、甘納豆、餡などにする乾燥種実用に大別されます。莢インゲンの生産量日本一は千葉県で北海道は第二位ですが、乾燥種実の主な生産地は北海道で、全国生産量の約90%を占めています。莢インゲンは栽培期間が短く一年に三度収穫できるところから、関西では三度豆とも呼んでいます。
インゲンマメの原産地はメキシコ南部から中央アメリカのグアテマラ、ホンジュラス一帯といわれています。今では、アジア、南北アメリカ、アフリカなど、世界中で広く栽培され、特にインドやブラジル、中国、メキシコ、アメリカでの栽培が盛んで、重要なタンパク源の一つとして、活用されています。
アメリカは、西部開拓の時代から、インゲンマメを重要な食料としてきました。そのため、西部劇では、カウボーイなどが皿に載せられた豆料理を、スプーンですくって食べるシーンがよく見受けられます。
日本には、江戸前期の帰化僧隠元禅師によって承応三年(1654年)に中国から伝えられたといわれています。これが名前の由来になっていますが、しかしこれ以前から渡来していたとの説もあります。『大和本草』には「この種近年異国より来る」とありますが、当時はまだあまり普及していなかったようです。相馬暁著・野菜学入門(三一書房)によると『実は、隠元禅師が持ち帰ったのは別種のフジマメで、本当のインゲンマメの栽培は、北海道開拓使によって明治の初めに、アメリカから多くの栽培用品種が導入されてから、行われるようになった。』そうです。
今では、栽培法が発達し、莢インゲンも一年中出回っています。栄養的には、莢の部分にタンパク質のほか、遊離アミノ酸、アスパラギン、ロイシン、リジンなどが含まれ、マメの部分にはタンパク質、デンプン、糖分、マンニットなどが含まれています。β-カロチンやビタミンC、B1、B2、B6などビタミンB群やカルシウムも豊富です。食物繊維も多い。アスパラギンのように疲労回復物質も含まれ、ビタミンB群と共に、疲労回復にも一役かっています。
又今日も
莢隠元のつけ合はせ
稲畑汀子
西野次朗
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」441号(2022年9月5日発行)に掲載された記事です。
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