正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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アサツキ

     - クスリになる食べ物

もともとアサツキは山野に自生していたものです。名前の由来は、ネギよりも緑色が浅いところから、浅い葱(き・ネギの古語)と呼んだとされています。糸葱とか島葱ともいいます。

アサツキは日本、あるいは中国の中部以北原産の多年草と考えられています。アサツキは日本独自の野菜なので、英名や独名や仏名はありません。東北や北海道に自生し、栽培品は関東地方が主産地です。

『和名抄』や『延喜式』には、島葱の名で登場します。古くから,浅葱膾(あさつきなます)として、3月3日の桃の節句には食べやすいように料理して食膳に並べられたものです。

アサツキなどネギ類に含まれる含硫化合物は、辛味や涙を出させる刺激性物質の主成分です。この成分はビタミンB1と結合すると、吸収率が高く持続性のあるB1に変化しますが、そのためには含硫化合物に作用する酵素が必要で、細胞内にある酵素がよく働くためには生で使うことが必要です。さらに刻んだり、おろすなどして細胞をよくつぶすと効果的です。

B1の多い肉や魚とネギ類の組み合わせがよいのは、風味だけではなく生理作用にもかなっています。薬味として細かく刻んだアサツキをたっぷり使うと彩がよく、体にもよいわけです。ビタミンB1の吸収がよくなると、エネルギーの代謝が促進されて疲労物質が早く取り除かれるので疲労回復にも役立ちます。

ネギ類の含硫化合物の生理作用については、血液をサラサラにして心臓病や脳梗塞を防ぐ、血圧の上昇の抑制、血糖値の低下、ガンの抑制など次々に報告されています。

アサツキには葉酸が多く、コマツナの2倍量、ホウレンソウよりもやや上回る量が含まれています。葉酸は造血作用にかかわるビタミンの一種で、不足すると貧血の原因になります。薬味として少量使うだけではなく、和え物など料理素材として利用したい野菜の一つです。

ミネラルではカルシウムとリンが豊富です。カルシウムの有効利用のために必要なタンパク質も多くありますので、理想的な野菜といえるでしょう。

あさつきに
酢みそと出たる袷かな
立花北枝

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」447号(2023年3月6日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。