子供の偏食
真新しいランドセルを背負って学校に通う子供たちですが、野菜嫌いの子供が多いそうです。偏食が続くと友達の好き嫌いが目立つようになり、思春期以後にも人格形成や人間関係に影響を与え、社会生活がうまくいかない人間になりがちだといわれます。
軟らかい加工食品や飲み物が多くなり、何年も前から子供の骨格が変わりつつあるといわれていますが、肉製品やよく噛まなくても食べられるものが増え続けています。
もともと野菜は読んで字のごとく、野にできた菜っ葉類、野草を生かして食べたのが始まりです。そして、その多くは「薬」として食べられてきました。日本には日本古来の野菜があるわけですが、それが敬遠され、品種改良という名目で「より甘く、より柔らかく」ということで、これまでの身土不二とか養生という考え方からしだいに遠ざかり、現代好みに迎合するように改良されてきました。
食養生といいますと何となく古びて難しいことのように思いがちですが、これは日本各地のそれぞれの家庭で、長い間おばあさん達が実行してきた極自然な普通の食生活の在り方なのです。
食養生とは何か、一口でいいますと、毎日の食事を偏りなく、バランスよく摂り、健康状態を保つようにすることなのです。食品にはカロリーと栄養成分があります。それを上手に使うことですが、一物全体食という言葉がありますように、大根の葉も、魚の骨も上手に活用するようにします。
身土不二といいますのは、やがて土に還る人間の体は、大地と一つでなければならぬ、というものです。つまり人の生活は自然でなければならないことをいったものです。人とその人が生育する土とは深い関係があり、その土地のその時期に生産するものを食べることが健康には大切、という考え方です。
自然志向がしきりに唱えられている昨今、次代の日本を背負って行く子供たちに、このおばあさんたちが伝えてくれた食養生の基本ルールを、今度はわが子を慈しむお母さん方の知恵と技で、正しく伝えていただくことができますよう期待したいと思います。
野菜屋に
花の売らるる彼岸かな
井浦ひろこ
西野次朗
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」449号(2023年5月8日発行)に掲載された記事です。
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