バナナ
私の子供のころはバナナを食べたといいますと友達に羨ましがられたものでした。台湾からバナナが初めて輸入されたころは、私たち庶民には手に入れることができない高価な希少品でしたが、1963年にバナナの輸入が自由化され、フィリピンなどから輸入されるようになりますと、値段の安い普及品へと変化してきました。
バナナは世界で最も古い栽培植物のひとつで、わが国では昔は芭蕉と呼ばれていました。ブドウ糖や果糖など、消化吸収されやすい糖質を多く含み、消化が良くて食べてすぐエネルギーになるため、病人や運動時のエネルギー源として最適といわれています。
松尾芭蕉が俳名を「芭蕉」としたのは門人の李下から芭蕉の株を贈られ、大いに茂ったことに因むといわれています。
バナナは数多くの栽培品種がありますが、現在、わが国のスーパーなどで一般に売られているのは、世界で生産されているバナナのほぼ90%を占めるキャベンデイッシュといわれる品種で、主にフィリピンから輸入されています。太くて長い大型のバナナで、きれいな黄色をしています。
バナナの香りは、果物の中では〝もっとも好まれる〟部類に入っていて、バナナが嫌いという人は少ないようです。エネルギーが高いという点と消化が良いということが病人や小児の栄養食として重宝がられているのでしょう。食後のデザートや子供のおやつに、お菓子を使うと弊害のあることが指摘されていますのでバナナを与える家庭が増えているのかもしれません。
バナナの果肉には、炭水化物のフラクトオリゴ糖、ビタミンのナイアシン、ビタミンB6、ミネラルのカリウム、マグネシウム、リン、食物繊維などが含まれています。フラクトオリゴ糖は腸内環境を整えて便通をよくする、ガンや動脈硬化の予防に有効です。高血圧を予防するカリウム、精神を安定させるセロトニンやノルアドレナリンなども豊富です。
一般に、病後食や日頃の滋養食として食べますが、がんや動脈硬化の予防も期待できます。ですが胃腸の弱い人は食べ過ぎますと胃腸障害を起こす場合があります。低温に弱いので冷蔵庫ではなく、常温で保存します。
バナナ下げて子らに帰りし
日暮れかな
杉田久女
西野次朗
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」455号(2023年11月6日発行)に掲載された記事です。
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