かぶ
食べものには病気を予防し健康な身体づくりに役立つさまざまな効用があります。野菜もその例にもれません。がん予防に緑黄色野菜が有効なことはすでに証明されていますし、中国では薬膳として野菜などの効用を生かした料理が考えられています。日本でもその影響でしょうか薬膳料理が増えてきました。
「かぶ」は、春の七草では「すずな」と呼ばれ、体を温める働きがあります。みそ汁の実などで親しまれてきました。中国・明代の書物『本草綱目』(ほんぞうこうもく)では、「内臓の働きをよくし心身を軽くし‥気分をさっぱりさせ、せきを止め、口の渇きをいやし、腹の痛みをやわらげる」とあります。
白くて丸い根の部分に含まれる栄養素は主に消化酵素です。コメやイモなどのでんぷんの消化を助けるジアスターゼ、でんぷんの加水分解をするアミラーゼを含みますので、昔から天然の消化剤として用いられてきました。体を温めながら消化を助け食べ過ぎや胸やけに効果があります。
葉の方には、ビタミンA、B2、C、カルシウム、鉄、食物繊維など、生活習慣病の予防に必要な栄養素がたっぷり含まれています。その栄養価は、緑黄色野菜としてはこまつな並み、アクが強いので下茹でして使うことになると思いますが、茹でてもあまりあるビタミンCが含まれているのがかぶの特徴です。また、食物繊維が豊富なので、便秘の解消にも役立ちますし、大腸がんの予防にも効果があります。葉の特有のにおいを嫌って捨てる人もいますが、葉の部分も根とともに大切に食べるようにしたいものです。また、根、葉ともに、貧血を予防する葉酸がたくさん含まれています。
最近ではがん抑制の効果がある野菜として注目されています。根や葉に含まれている強力な抗がん物質の一種であるイソチオシアン酸フェネチルと呼ばれる配糖体(グルコシノレート)が、100g中39~166㎎も含まれています。この配糖体はキャベツ、白菜、カリフラワー、クレソンなどに多く含まれていますが、かぶはこれらの野菜よりもさらに含有率が高いので注目されています。
おく霜の一味付けし蕪かな
一茶
西野次朗
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」458号(2024年2月5日発行)に掲載された記事です。
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