ユリネ
おせち料理によく使われるようにユリネの旬は11月から2月ころ。
寒い地方で作られたもののほうが味が良いといわれ、日本では北海道産のものが多く使われています。花屋さんで売られているユリは白ユリ、ユリネとして食べられるのは小鬼ユリや姫ユリ、山ユリなどで種類が違うのです。京料理には欠かせない食材で、関西での消費が圧倒的に多い伝統野菜です。
ヤマユリは日本原産のユリです。北海道南部、本州、四国、九州の一部に分布しています。球根は扁球形で、大型のユリネです。球根の径は7から10センチで、その重さは100から120グラムです。鱗片は黄白色で先端に桃色の斑点があるのが特徴です。ユリネはほとんど風土を選ばず日本でもいたるところの山野に自生しています。
江戸時代の農学書であります「農学全書」によりますと、白いユリは薬用に、鬼ユリを食用にしていたようです。またユリの新しいものは蒸して食べても、肉と一緒に食べてもよい。乾かしたものは粉にして餅として食べても旨い。塩ゆで湯がき、菓子としてもよいし、そのヒメユリ、テッポウユリなどを指して、苦み多く、食用にならないと記載されています。オニユリのみを食用に薦めています。
ユリネには食物繊維が多く、ゴボウに近い。一般に野菜の食物繊維は不溶性のものが多いが、ユリネの場合は水溶性3・3パーセント、不溶性2・1パーセントと、水溶性の食物繊維のほうが多いという特徴があります。
ユリネに含まれるカリウムの量はサツマイモの1・5倍強。カリウムは体内でナトリウムとのバランスをとる働きがあり、血圧をあげる原因となる過剰のナトリウムの排泄を促すので、高血圧の予防や改善に良い。
漢方では、ユリネを「百合」(ひゃくごう)といい、ヤマユリ、オニユリなどの多くのユリの根が滋養強壮、鎮咳、利尿、消炎、解熱などに用いられています。ユリネは糖質が27パーセント、サツマイモに近いエネルギーがあります。また消化が良く、タンパク質やカリウム、マンガンなどのミネラル、B1、B2、B6、葉酸などのビタミンも豊富なので、胃腸の弱い人や乳幼児に適した食べ物といえましょう。
昔のアイヌの人たちは、山野で採取したユリネを大切に貯蔵しておき、来客の折には、ユリネ団子やユリネご飯を作って、もてなしたということです。
西野次朗
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」468号(2024年12月5日発行)に掲載された記事です。
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