オクラ
オクラを生のままきざんで、のりやかつおぶしをまぶしてしょうゆをかければ、ちょうど納豆のようなネバネバがでて、結構、美味。ご飯との相性もよい。原産地はアフリカで1年草木ですが、エジプトでは紀元前2世紀から栽培されていたというほど歴史の古い野菜です。
ネバネバのもとになっているのはペクチンという水溶性の良質の食物繊維です。ペクチンは、腸の働きをよくするほか、コレステロールを減らす働きがあります。ネバネバのもう一つは、山芋やなめこなどに含まれているムチンという食物繊維です。ムチンはタンパク質の消化を助けるので、肉や魚、豆腐などと一緒に食べるとよい効果が得られます。
穀類を多く食べるアフリカ人には大腸癌や血管障害、また糖尿病がほとんど見られないといわれますが、その理由として食物繊維の効果があげられています。逆に食物繊維の摂取量の少ないデンマーク人には、大腸がんの発生率がきわめて高いというデータもあります。
食物繊維は、体内で水分を吸収してふくらみ、腸の中の内容物をふくらませるので、腸のぜん動運動が活発になって便秘を改善します。そして腸内の善玉菌の増殖を助けて有害菌の活動を抑えこんでしまいます。
オクラ100グラム中の食物繊維は4.9グラム。オクラは、1本が5~6グラム程度の重さですから3本だと15グラムほどで、食物繊維の量としては合計で700~800ミリグラムになります。この量は市販されている整腸薬の1回分に入っている食物繊維的物質の量とほぼ見合っていますので、そういった意味でオクラは1回3本くらいで適量といえます。
また、食物繊維は吸収されないだけでなく、ほかの栄養分の吸収も遅らせる特徴がありますので、オクラを食べるのは夕食時が一番効果的です。
※本記事に関して、ムチンという言葉は、動物性の粘性蛋白質についていわれたもので、学術的には、植物の粘液についてムチンというのは誤用という主旨の指摘をいただいています。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」170号(2000年2月5日発行)に掲載された記事です。
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