正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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高血圧・動脈硬化を防ぐ‐こんぶ‐

     - クスリになる食べ物

湯豆腐にこんぶは欠かせない存在ですが、だしをとった後は捨ててしまう方が多いそうです。これは大変にもったいないこと。こんぶは「海の野菜」と呼ばれ、栄養豊富な食品です。

こんぶには、甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素が多量に含まれています。甲状腺ホルモンは、ほとんどすべての体の組織で物質代謝を促進させるホルモンとして知られています。つまり、酸素の消費を増やしたり、寒さを防いで子供の成長をうながし、神経系の活動を活発にします。

不足しますと、子供では小人症となり、大人では粘液水腫という病気になります。中国の内蒙古などでは地域的にヨウ素が少ない所があって、ヨウ素の極度の不足による地方性甲状腺腫がみられます。しかし、このようなひどい疾患にならないまでもヨウ素が不足すると、感覚や運動がにぶって、頭の回転がのろくなります。昔から海藻を食べよと言われる理由の一つです。老人ぼけの予防になります。

こんぶはヨウ素のほかカリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、カルシウムなど、生体に必要なミネラルをたくさん含んでいます。なかでもカリウムには、塩の主成分である塩化ナトリウムを排出する働きがあります。したがって、こんぶを食べていますと塩分のとりすぎを自然に防いで、高血圧を予防する効果があります。

また、食物繊維の一種、アルギン酸にはコレステロール値を抑える作用があります。こんぶを水につけるとぬるぬるしてきますが、そのぬるぬるがアルギン酸の正体で、こんぶの表面についている白い粉はグルタミン酸といって、これが旨味の成分です。

また、こんぶをはじめ海藻には、白血球の力を強めて、ガンになりにくくする働きのあることがわかっています。β‐カロチンも含まれています。しかし、こんぶは食べすぎますと甲状腺機能の低下や、むくみをきたすことがあります。

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この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」165号(1999年9月6日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。