そば
そばは8世紀ごろ朝鮮から伝えられ、主に山間地方で作られるようになりました。寒冷な山地や荒れ地にできるものほど、味がよいといわれます。
年越しそばと並んで二八そばが有名です。はじめは果皮を除いたものを米や麦に混ぜてそば飯としたり、そばだんご、そばがきなどとして利用してきました。現在のようなめん状のそば(いわゆるそば切り)になったのは、小麦をつなぎとして使うことを知った、江戸時代になってからのことです。
二八そばというのは、そのころそば切りが十六文(昔の貨幣の単位。一貫の1,000の1。当時は九六〇文を一貫とした)であったので二×八で十六文になるので二八そばというようになったという説と、原料の配合割合が、つなぎ粉の小麦粉が二分に対してそば粉が八分なので二八そばになったとする、二つの説があります。現在は小麦粉とそば粉の割合が逆転して「昔のほうが良かった」と思っている人が結構いるようです。
そばの長所はなんと言っても、タンパク質の栄養学的な質がきわめて良好なことです。とくに、必須アミノ酸の一種であるリジンの含有が多く、例えば小麦(薄力粉)150、コメ(玄米)230などに対して、そば(全層粉)は370とずば抜けて高く(窒素グラムあたりのミリグラム)質も良質です。
このほかオレイン酸やリノール酸などの植物油が含まれ、ビタミンB群も豊富ですが、茹でるとかなりの栄養素が流れ出してしまいます。ビタミンPは毛細血管を丈夫にするビタミンですが、そば以外の他の食品からは摂取しにくいといわれています。そばを食べたあとに、そば湯を飲む習慣は、それなりに理由があります。
また、昔から枕にもそばがらを用いる習慣がありますが、これは体を冷やさないで頭だけを冷やして安眠に導くので重宝されています。
そばは世界的には他の雑穀類と同じように栽培がだんだん減ってきていますが、人類がそばを主食としたとすれば、栄養学的には動物性タンパク質を食べる必要はないといわれるほど、実は「すぐれもの」なのです。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」173号(2000年5月8日発行)に掲載された記事です。
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