里芋
原産地はインド、マレーシア、インドネシアなどの熱帯アジアです。
主成分は、デンプン、タンパク質ですが、カリウムの含有量はほかの芋類と比べると抜群にあります。
里芋がほかの芋類と違う点は、皮をむくと表面にぬるぬるした粘りが出てくることですが、この粘りは、ガラクタンという多糖類の炭水化物とタンパク質が結びついたものに、マンナンという植物繊維が結びついたものです。
ガラクタンは脳への刺激を伝えるに必要なものですが、粘りに含まれているムチンは体内でグルコ酸を生じて胃壁や腸壁の潰瘍を予防し、肝臓を保護する働きがあるといわれています。
また、唾液腺ホルモンのの分泌を促す働きがあるので、消化を助け、便通も良くしてくれます。デキストリン、しょ糖も含まれているので、整腸作用を高めるのにも一役買っています。じゃがいもやさつまいもに比べるとやや脂質は多いのですが、糖質をエネルギーに変えるときに必要なビタミンB1、脂質の燃焼を助けるビタミンB2、植物繊維が豊富なので。ダイエット中の人でも安心して食べることができます。
広い意味の里芋には、子芋用品種、親芋用品種、親子兼用品種があります。子芋用では親芋は食用にならないので、まわりにたくさんできる子芋を食用にします。小さな芋を皮つきのまま茹でたのが「衣かつぎ」で、子供の頃、良く食べたものです。里芋は、子芋がたくさんできて子芋繁栄ということで縁起かよいものとされてきました。
ヤツガシラやエビ芋は親子兼用品種です。エビ芋は形がエビのように曲がっているところからこの名称あります。魚のタラの干ものの棒タラと炊き合わせた「芋棒」は京都の料理として有名です。ヤツガシラをお雑煮などに入れるのも、大勢の人の頭になるようにとの願いを込めて使うのだそうです。
※本記事に関して、ムチンという言葉は、動物性の粘性蛋白質についていわれたもので、学術的には、植物の粘液についてムチンというのは誤用という主旨の指摘をいただいています。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」174号(2000年6月5日発行)に掲載された記事です。
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