ねぎ
大食いの人はカゼをひきやすいといわれますが、これは過食していると、胃腸が疲れ、だんだん消化力が低下してくるので、体の抵抗力が衰えてくるからです。そして呼吸器を弱めて、すぐカゼをひくようになります。ねぎは白い部分の多い根深ねぎと、葉部が緑色をしている葉ねぎとに大別されます。このうち、栄養分の多いのは葉ねぎの方で、白い根には含まれていないビタミンAをはじめ、ビタミンC、カルシウム、カリウムなどが豊富に含まれています。
一方、カゼの特効薬といわれているのは白い根の部分。きざんで熱湯を注いで飲むと、発汗が促されて熱を下げてくれます。酒と一緒に煎じて飲めば、のどの痛みや咳、たんを切るのに有効です。
ねぎには独特のにおいがありますが、これはねぎを含めねぎ属(たまねぎ、にんにく、にら、らっきょう、のびるなど)特有のものですが、臭気のもとは硫化アリルという成分です。本来は配糖体の形で存在しているのですが、料理をするために切りきざまれて組織が破壊されてしまい、酵素の働きで刺激臭になります。
この成分はビタミンB1の吸収をよくし、血行をよくする作用もありますので、疲労回復には特に有効です。、また、ねぎのにおいには神経を休める働きもあり、枕元にきざんだねぎを置いておくと、不眠症にも効果があるといわれています。
日本へは日本書紀の時代から伝わっていますが、元気をつける野菜、発汗作用を促す野菜として用いられてきました。民間療法として「カゼのひきはじめにねぎをきざみ、かつお節と一緒にみそか醤油で味付けして、その中にしょうがをすって入れ、熱いうちに飲むと熱が早く下がる」「冷え症の人はねぎを常用すればよい」「打撲には生ねぎをきざんでガーゼに包み、患部につけると湿布になる」などさまざまな方法が伝承されています。
葱買うて枯れ木の中を帰りけり 蕪村
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」180号(2000年12月5日発行)に掲載された記事です。
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