正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ホタテガイ(2)

     - クスリになる食べ物

ホタテガイは内臓の健康を守る貝の王様といわれてきました。
旬は11月~7月ですが、今は養殖が盛んなので、通年、市場に出回っています。
1854年、ペリーが黒船で来航した時に、函館からアメリカへ持ち帰り、
その後、ラテン語で命名されました。その学名は、「蝦夷産の櫛のある皿」という意味です。
ホタテガイの貝殻の表面にある条肋を櫛の歯になぞらえたのでしょう。
和名の由来は、『和漢三才図会』に「口を開いてひとつの殻は舟の如く、
ひとつの殻は帆の如くにし、風にのって走る。故に帆立蛤と名づく」とありますので、
昔はこの貝が一片を帆のように立てて海中を走るものと考えられていたのでしょう。

ホタテガイはアキタガイともいい、食用としても重要な貝類のひとつです。
ホタテガイは北方に生息する貝で、
北海道から太平洋側は三陸地方まで、日本海側は能登半島まで分布しています。
近頃は養殖物が増えていますが、稚内方面など北部では天然物が多いことで知られています。
ホタテガイは甘味とうま味に富み、誰にも好まれる「貝の王様」です。
この美味しい味の成分は主にアミノ酸のグルタミン酸、グリシン、アラニン、アルギニンなどですが、
タウリンも牡蠣に次いで豊富です。亜鉛やセレンも多く含まれています。
タウリンはコレステロールを減らし、高血圧や脳卒中を予防します。
動脈硬化によって引き起こされる心臓病などを予防するほか、視力低下を防ぐ作用もあります。

また、亜鉛は味細胞の酵素の成分ですから、味覚障害の予防に役立ちますし、
セレンは抗酸化酵素のグルタチオンペルオキシダーゼの成分なので、
この酵素の活性に役立ち、過酸化物を分解します。
近年、ホタテガイには制ガン作用のある糖タンパク質が含まれていることが明らかになりました。
この物質は生体の免疫細胞を活性化させる働きを持つといわれていますので、
今後の研究によって制ガン剤としての実用化が期待されています。

帆立貝の
帆にさからへる潮かな  細木芒角星
西野次朗977703


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」412号(2020年4月6日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。