統合医療とは何だろうか? 第35回
- 統合医療
あけましておめでとうございます。
平成27年が皆様にとって良い年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
さて、統合医療に関して長々と連載を続けてまいりましたが、いよいよ最終章となりました。
最終章として今回から、がんの統合医療のお話をさせていただきます。
がんという病気ほど現代日本人にとって死病として恐れられている疾患はないかと思います。
それぐらい、今の日本ではがんに罹患する方、そしてがんで亡くなる方が増えています。
現在がんに罹患している方は約300万人、そして年間のがん死亡者数は約35万人といわれています。
2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで死亡する勘定となります。
そして日本人の死因の1位がこのがんなのです(ちなみ2位が心臓疾患、3位が肺炎です)。
さらに日本では、男女ともがんの死亡者数が毎年右肩上がりで増えています。
私どものクリニックでは毎週、お一人1時間ほどかけてがん相談をおこなっていますが、
現在予約待ち時間が2か月です。
がん相談に訪れる患者さんはすべて手術、放射線、抗がん剤治療という、
西洋医学に基づく日本の標準がん治療を受けては来たものの、
がんが治癒していない方々やがん治療の主治医からサジを投げられた方々です。
それだけがん治療がうまくいっていない、あるいは現在の標準治療に満足していない患者さんが多いのです。
日本の医療技術は世界でもトップレベルにあるといわれていますが、
このがん患者数や死亡者数が減らないというのは一体、どういうことなのでしょうか?
こういった質問をなげかけると、必ずしたり顔で答える方がいらっしゃいます。
「そりゃそうだ、日本は世界一の長寿国だ。がんは老人にできやすい病気だから、
がんの患者が増えるのは当たり前だ」と。
確かに高齢者が増えればがんの患者数が増えるのは当然なことではありましょう。
しかし、それではがんの死亡者数が増え続けることは説明できません。
どんなにがん罹患者数が増えても、もし、がんが治療で治るのなら、がん死亡者数は減る筈です。
死亡者数が減少していないということは、がんという病気で治らない患者さんが多いということです。
言い換えるなら、現代日本のがん治療(手術、放射線、抗がん剤)は
すでに行き詰っているのではないかと私は考えています。
ここにがん統合医療の必要性があります。(この項続く)
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」349号(2015年1月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
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略歴 1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。 1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。 1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。 認定資格 |