統合医療とは何だろうか? 第40回
- 統合医療
さらにがんになる要因として感染があります。
具体的には肝臓がんの原因となるB型やC型肝炎ウィルス、胃がんの原因となるピロリ菌、
そして子宮頸がんを引き起こすパピローマウィルスなどです。
これらはいづれも抗菌・抗ウィルス薬、
そしてワクチンなどによりがんの発生を予防することができます。
今まで挙げてきた食事や喫煙などとともに、
これらの発がん要因を遠ざけることでがんの発生を防ぐことができるのです。
しかしながら、大多数のがんについてはその発生原因はいまだによくわからないのです。
ただ、第37回でお話ししたように、強いストレスが体の免疫力を低下させ、
発がんの誘因になっているのはほぼ間違いのないことだと思います。
従って、日本でおこなわれている、手術、放射線、
抗がん剤による、がんを物理的に取り除くだけの治療ではがんから回復することは困難でしょう。
現に国立がん研究センターのがん統計をみると、
ここ50年の年齢調整がん死亡率はゆるやかに低下してきているものの、
劇的な死亡率の低下はみられないのです。つまり、日本のがん治療は行き詰っていると言えます。
では、どうしたらできてしまったがんから回復することができるのか?
ここにこそ、がん統合医療が必要なのです。次回からその点についてお話ししていきましょう。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」356号(2015年8月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
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略歴 1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。 1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。 1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。 認定資格 |