正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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統合医療とは何だろうか?第11回

     - 統合医療

この連載も11回を迎えることになりました。これまで述べたことをまとめますと統合医療とは心と体を切り離さずに見ていく医療であること、そしてその理解のためには自律神経による白血球支配の原理の理解が必要であることになると思います。

心と体を切り離さないで見ていくとは、還元すれば「人間をまるごと見る」ことといえます。実は人間を丸ごと見る医療ということをすでに唱えている方々がいらっしゃいます。それがホリスティック医学といわれるものです。今回はホリスティック医学の観点から統合医療を見ていきましょう。

ホリスティック医学とはどういうものか?これについては日本ホリスティック医学協会がその定義を掲げております。

ホリスティック(holistic)とはギリシア語のholos(全体)を語源としています。英語でもwholeという言葉がありますがこれも全体を表す言葉です。このほか、health(健康)などもholisticが語源であるといわれています。つまり、健康ということも西洋では全体を意味していた。全体とはいうまでもなく人間全体、つまり心と体のことをあらわしていると考えていいでしょう。

さて、日本ホリスティック医学協会によるホリスティック医学の定義ですが、以下のようなものです。少し長いのですが引用してみます。

① ホリスティックな(全的な)健康観に立脚する:人間を体・心・気・霊性等の有機的統合体としてとらえ、社会・自然・宇宙との調和に基づく包括的、全体的な健康観に立脚する。

② 自然治癒力を癒しの原点におく:生命が本来、自らのものとして持っている自然治癒力を癒しの原点におき、この自然治癒力を高め、増強することを治療の本とする。

③ 患者が自ら癒し、治療者は援助する:病気を癒す中心は患者であり、治療者はあくまでも援助者である。治療よりも養生、他者療法よりも自己療法が基本であり、ライフスタイルを改善して患者自身が自ら癒す姿勢が治療の基本となる。

④ さまざまな治療法を選択・統合し、最も適切な治療を行う:西洋医学の利点を生かしながら、中国医学やインド医学など各国の伝統医学、心理療法、自然療法、栄養療法、手技療法、運動療法などの各種代替療法を総合的、体系的に選択・統合し、最も適切な治療を行う。

⑤ 病の深い意味に気づき、自己実現を目指す:病気や障害、老い、死といったものを単に否定的に捕らえるのでなく、むしろその深い意味に気づき、生と死のプロセスの中で、より深い充足感のある自己実現をたえずめざしていく。

(この項、次回に続く)


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」307号(2011年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
小井戸 一光
癒しの森内科・消化器内科クリニック 院長

癒しの森内科・消化器内科クリニック

略歴
1977年、北海道大学医学部卒業。北大第3内科入局、臨床研修を受ける。

1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。

1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。

1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。

認定資格
日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本超音波学会専門医・指導医、医学博士