統合医療とは何だろうか? 第42回
- 統合医療
がんが治癒するためには、「身体・心・魂のつながりが断ち切られるようなストレスや抑圧された心が作り出し、その結果がんになった」、そういう自分の生き方を変えなければならない。それが私が考えるがんからの治癒の道であり、ケリー・ターナーの主張でもあります。
では、どのようにそれを実行すればいいのか?これに関しては、ケリー・ターナーの著書、「がんが自然に治る生き方」に従ってお話を進めるのがいいかと思います。ケリー・ターナーはハーバード大学時代から統合医療に関心を持ち、博士号を取得したカリフォルニア大学バークレー校で、がんが劇的に寛解した人々100人(この中には日本人も一人含まれています)へのインタビューやがん自然退縮の文献約1000例の解析から、進行がんが完全寛解に至る9つの法則を導き出しました。その9つの法則を解説したのが、「がんが自然に治る生き方」(プレジデント社)という書籍です。
ここでは、まず、この9つの法則を列挙してみましょう。9つの法則とは以下のとおりです。
- 抜本的に食事を変える
- 治療法は自分で決める
- 直観に従う
- ハーブとサプリメントの力を借りる
- 抑圧された感情を解き放つ
- より前向きに生きる
- 周囲の人の支えを受け入れる
- 自分の魂と深くつながる
- 「どうしても生きたい理由」を持つ
いかがでしょうか。これを読まれた皆様は、この9つの法則をご覧になってどのような感想を持たれたでしょうか?そう、もうおわかりと思いますが、この9つの法則のうち物質的な項目は①と④しかなく、残りはすべて心の在り方がテーマなのです。がんから劇的に回復した人々は、心の在り方を変えていったのです。これは、日本でおこなわれている、西洋医学的がん治療(手術、放射線、抗がん剤)からははるかに離れた地平にある法則なのです。
次回からは、この9つの法則を私なりに解釈、解説してみたいと思います。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」359号(2015年11月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
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略歴 1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。 1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。 1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。 認定資格 |