正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

統合医療とは何だろうか? 第22回

     - 統合医療

さて、これまで皆さんの食事に関する常識が必ずしも的を得たものではない、
あるいはまったく間違っていることを指摘してまいりました。
ここでおさらいすると、以下の内容はいずれも日本人にとって
健康で長生きするためにはお勧めできないことがらです。

がっちりした体を作るには肉を食べるのが一番
牛乳は体によいから毎日飲む
米よりパンのほうが栄養価は高い
バターはコレステロールが多いから植物性マーガリンを使っている
炭水化物は太るから食べない

それではどのような食事が私たち日本人にとって重要なものであるのか、
これも山田豊文先生が提唱されている食材を中心にお話しましょう。
山田先生は日本人が健康に暮らすために重要な食材を「マゴワヤサシイ」と表現していらっしゃいます。
この標語は最近私も色々な講演で御紹介しておりますし、
自然食品のお店などでも見かけることがありますので、少しずつ広がってきたのではないかと思います。
しかし、ご存じない方のためにここでご紹介いたしましょう。

マは豆、ゴはゴマ、ワはわかめ(海草)、ヤは野菜、サは魚、シはしいたけ(きのこ)、イはイモです。
豆類には良質なタンパク質やビタミンB群がたくさん含まれています。
ゴマにはカルシウム、亜鉛、ビタミンB、E、レシチンなどが豊富です。
特にカルシウムの含有量は多く、100gあたり1300mgも含まれています。
カルシウムは骨を作るのに欠かせないミネラルですが、
それだけではなく神経の活動にも必要で、これが不足するといらいらして怒りっぽくなります。
海草にはマグネシウム、カルシウム、ヨウ素が多く含まれるほか、
食物繊維として腸内の宿便をきれいに洗い流してくれる作用があります。
野菜にはカリウムが多く含まれ、βカロテン、ビタミンCも豊富です。
さらに野菜にはファイトケミカルといわれる機能性成分が含まれており、
これらには抗酸化作用、抗がん作用、免疫力賦活作用があります。
魚は良質のタンパク質ですが、亜鉛やセレンといったミネラルのほか、
EPA(エイコサペンタエン酸、中性脂肪を低下させる)や
DHA(ドコサヘキサエン酸、これも中性脂肪を低下させる。記憶力を増強させることでも有名。
最近はこれが不足するとうつ病になりやすいともいわれている)も含まれています。
シイタケに代表されるきのこ類にはβグルカンなど免疫賦活物質が含まれていますし、
そのほかにも抗酸化作用、がんが発育するのに欠かせない新生血管を阻害する作用もあります。
イモにはカリウム、ビタミンCが多く含まれ、
特にジャガイモのビタミンCは加熱しても破壊されにくいので
ビタミンCを摂取するにはもってこいの食物です。
マゴワヤサシイに含まれる食材は、日本人が昔から食べていたものであることは、
賢明な皆さんにはすぐおわかりのことでしょう。

そうなのです、昔から日本人がみんな食べていた「和食」こそ
日本人にとって最も大事な健康食なのです。
このマゴワヤサシイの食材に主食は玄米、そしてそれらに味噌汁を添えれば
日本人が健康に暮らすための食事として素晴らしいものとなります。
皆さんも是非これらを使ったお料理に挑戦してみてください。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」322号(2012年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
小井戸 一光
癒しの森内科・消化器内科クリニック 院長

癒しの森内科・消化器内科クリニック

略歴
1977年、北海道大学医学部卒業。北大第3内科入局、臨床研修を受ける。

1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。

1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。

1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。

認定資格
日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本超音波学会専門医・指導医、医学博士