統合医療とは何だろうか? 第44回
- 統合医療
次の法則は「治療法は自分で決める」です。
がんから寛解をとげた人たちは、医師のいいなりにならなかったのです。そして治療法を自分で決めた人は生存期間が長いことが明らかとなっています。
これはどういうことかと言いますと、医者に自分の命を丸投げしないということです。つまり、がんの治療を自分で考えることなく、ただ唯々諾々と医者から言われたことだけをしていてはがんは治らないのです。特に進行がんの場合、医者は口にこそだしませんが、そのがん患者の平均余命はわかっているので、その期間が短いほど医者も半ばあきらめていることが多いのです。だから、「私はがんのことはわからないから、先生に全部お任せします」といって治療を受けていれば、あとは医者のいう生存期間しか生きられないのです。だって、医者にすべてお任せしたのですから、医者の言うとおりの期間しか生きられないでしょう。
進行がんから回復した人々は皆、受け身になることなく、自分で治すべく行動した人たちです。がんを治したければ、自分の意志でそれまでのがんになった生活を、そして人生を自ら変えなければならないというのはある意味、自明のことではないでしょうか。
ケリー・ターナーはこう言っています。「身体とは、目に見える物質である肉体と、目にみえない心と魂とが、見事に統合された有機体である。そして、肉体と心と魂を大切にあつかっていれば、人の身体は健康な状態を保つものである」。以前にも述べたように、西洋医学に基づく日本のがん治療は、手術、放射線、抗がん剤という、「目に見える物質である肉体」の治療でしかありません。ですから、がん治療を皆さんの主治医に任せてしまうと「目に見えない心と魂」の救済はできなくなってしまうのです。そこの治療は自らが、自分の直観に従っておこなうしかないのです。
もうひとつ大事なことは、これも以前お話ししたことですが、がんはみなさんの間違った生活習慣が原因で生じるのですから、その間違った生活習慣を変えなければがんは治らないのです。つまり前段で述べた如く、がんを治したければ、自らの意思で自らの人生を変えなければならないのです。
進行がんから劇的に生還した人々に関する数々の研究から、彼らに共通していたのは、自ら積極的に治療法を選び取ったこと、つまり治療法の自己決定であったとケリー・ターナーは述べています。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」362号(2016年2月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
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略歴 1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。 1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。 1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。 認定資格 |