統合医療とは何だろうか? 第28回
- 統合医療
それではこの免疫力を具体的に体内で担っているものは何なのかというお話をしましょう。
免疫を司っているものは、白血球という細胞です。
白血球は大きく分けると、顆粒球、リンパ球、単球から成り立っています。
リンパ球はさらにB細胞、T細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞に分れます。
B細胞は骨髄(英語でBone marrowといいます。Bはboneの頭文字からとっています)で作られます。
T細胞は胸腺(英語でThymus、Tはその頭文字)で作られる細胞です
(正確には骨髄で産生された前駆細胞が胸腺内で分化成熟したものですが)。
T細胞には免疫反応を補助するヘルパーT細胞と呼ばれるものがあります(これをThと略します)。
Thは1と2に分かれます。Th-1は細胞性免疫機構と呼ばれています。
具体的にはウィルスなどが体内に侵入したときキラーT細胞やインターフェロンを放出し、
ウィルスを殺します。そのほかの大事な働きとしてNK細胞とともにがん細胞を攻撃して消滅させます。
私たちの体内では毎日5000個ぐらいのがん細胞ができるといわれていますが、
それらが増大しないのはこのNK細胞やT細胞による免疫力があるからです。
Th-2は液性免疫機構といって、B細胞で作られるたんぱく質(これを抗体といいます)を使って
細菌などを殺す働きがあります。
しかし、細菌を殺すだけならいいのですが、
Th-2には喘息やアトピーなどのアレルギーの発生にも関わってくるのでなかなかやっかいです。
いづれにしても、このTh-1とTh-2がバランスよく働いて初めて免疫力は正常に作動するのです。
両方とも働かなくなればがんができやすくなります。
片方だけが働くと、アトピーや関節リウマチなどの自己免疫性疾患
(自分の細胞や組織を異物とみなし、免疫細胞が攻撃する病気)になることがあります。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」335号(2013年11月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
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略歴 1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。 1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。 1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。 認定資格 |